令和6年 秋の彼岸法要ご報告

今年も残暑が厳しい9月でしたが、お彼岸を境に一気に過ごしやすくなってまいりました。9月23日の彼岸法要当日がまさに境目のような秋を感じる一日でした。3連休となった今年のお彼岸ですが、天候に恵まれたこの日が多磨霊園のお参りも一番おおかったように感じます。彼岸法要にも32名の信友のみなさまにお参りいただきました。

春彼岸は歯科医師の枝広先生の健康講話、夏の施餓鬼法要は山口春奈さんのコンサートとゲストが続き、さすがに年に1回くらいは住職が法話をしなければと今回は私が法話をいたしました。法話といっても、いつものように余談ばかりの法話ともつかない話でしたが、これからの時代を見据えて永代供養や寺院が責任をもってお弔いをできるようなシステムを考えていきたいという私の考えをお伝えいたしました。

14時からの法要はみなさまに大きな声でお念仏をしていただき、ありがたい気持ちでおつとめいたしました。来年春のお彼岸は3月22日(土)の予定です。

法要翌日に夏の簀戸障子から通常の障子に入れ替え、これで夏に一区切り。秋の到来を実感いたします。みなさま、くれぐれもご自愛くださいませ。

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次のオリンピック

寺報『信友』235号の巻頭「次のオリンピック」を転載いたします。
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パリオリンピックが閉幕しました。テレビが一家に一台だった頃に比べると、家族でオリンピックに熱狂する時代ではなくなってしまいましたが、それでも数々の感動の場面がありましたね(虎党の私はタイガースの戦績に一喜一憂の夏でしたが……)。

4年後はロサンゼルスと聞いて、1984年(昭和59年)のロス五輪を思い出しました。私の記憶の一番古いオリンピックがそれなのです。

私は当時7歳でした。体操の森末・具志堅、柔道の斉藤・山下の金メダル、カール・ルイスの四冠は鮮明に覚えています。そして、もう一つロス五輪で忘れられない光景があります。

おじいちゃん子だった私は、祖父と一緒にテレビで閉会式を見ていました。「4年後はソウル……」というアナウンスを聞きながら、祖父は「おじいちゃん、次のオリンピックは見られないかもしれないなあ」とつぶやいたのです。

私にはまだその言葉の意味が分りませんでした。でも、弱いところを見せることなどなかった明治生まれの祖父が、珍しく寂しそうにしていたので、記憶に焼き付いているのでしょう。

祖父は頑強な人でした。翌年の4月末、私と一緒に入浴中に心臓の痛みを訴え出し、翌朝、着物に着替えて、自分で救急車を呼んで、自分の足で乗り込んで病院に向かいました。診断は心筋梗塞。すぐに危篤状態となりました。

余命数日といわれましたが、11日間がんばって、5月8日に浄土に旅立ちました。

家族も檀家さんも「何の前触れもなく逝ってしまった」と言いました。

当時の男性の平均寿命は74歳、祖父は80歳でしたから、死がいつ来てもおかしくはありません。でも、今、ロス五輪のことを思い返すと、それだけはない何かを祖父は感じていたように思うのです。あの一瞬の寂し気な顔は、一年も経たずに旅立つ自分を予期していたのかも……と。

オリンピックの4年という間隔は、恐ろしくも思えてきます。私の父はロンドン五輪、母は東京五輪が最後のオリンピックでした。慢性腎不全だった父、悪性リンパ腫だった母にとって、「次のオリンピック」はどんな響きを持つ言葉だったのだろう。

誰だって4年後にロス五輪を見られる保障はありません。それでも、4年の持つ重みは人それぞれ。病気の人、健康な人、若い人、老いた人、「あと4年」を簡単だと思う人もいれば、ハードルが高いと感じる人もいるでしょう。

みなさまが、4年後、「またオリンピックを見られた」という日を迎えられますように。住職としてご本尊に願っております

施餓鬼会法要ご報告

7月7日に施餓鬼法要をおつとめし、36名のお参りをいただきました。
府中市では午後2時に最高気温36度という予報でしたので、朝から1階・2階のエアコンを全開にして、寺全体を冷やすように試みたものの、外気温とみなさんの熱気とで、結局かなりの暑さになってしまったのではと思います。
それでも、最後まで参列していただいたこと、誠にありがたいことと感謝申し上げます。

春のお彼岸では、法要前に口腔機能についての健康講話をしていただきましたが、今回はミニコンサートを初開催。シンガーソングライターの山口春奈さんに、ピアノとハープで弾き語りをしていただきました。

施餓鬼のご詠歌をピアノでアレンジしていただいたり、「七夕」や「ふるさと」といった唱歌、映画「千と千尋の神隠し」の主題歌「いつも何度でも」、亡き人とのつながりや祈りをテーマにしたオリジナル作品など、1時間弱にわたるコンサート、優しさと透明感あふれる歌声にみなさん、心癒されるひと時でした。

秋の彼岸法要は9月23日(月・振替休日)を予定しています。

適度な栄養と休養でこの夏を乗り切りましょう!

比べなくてもあなたはあなた

寺報『信友』234号の巻頭「比べなくてもあなたはあなた」を転載いたします。
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毎年、年末にお送りしております浄土宗月訓カレンダー。5月の月訓は、標題の「比べなくてもあなたはあなた」でした。

浄土宗では『浄土宗新聞』という月刊新聞を出しておりまして、「今月のことば」というコラム欄があります。カレンダーの月訓にちなんだコラムが掲載されるのですが、そのお鉢が私にまわってきました。二十部ほど掲載紙が送られてきましたので、寺に置いております。お参りの際、ご自由にお持ちください。とはいえ、なかなか皆さんがお手に取るチャンスはないのも現実ですので、ここに転載いたします。
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新緑が目に鮮やかな季節になりました。私はスギの花粉症なので、久々に新鮮な空気を思い切り吸い込めてうれしい毎日です。お檀家さんに会えば、「良い季節になりましたね」とあいさつを交わしています。

しかし、ふと考えてしまいます。本当に良い季節なのかしら、と。私にとっては良い季節でも、イネの花粉症の方にとってはピークを迎える悪い季節かもしれません。「良い」も「悪い」も人それぞれに異なるもの。「季節」はただ「季節」に過ぎず、私たちが勝手に個人的評価をつけているだけなのかもしれません。

私たち自身も勝手な評価をお互いにつけ合い、時にそれに苦しんでいると感じることが多々あります。職業柄、悩みの相談を受ける機会がありますが、そこで気づくのは評価されたり、比べられたりすることに疲れている方々がたくさんいるということ。この世界は小さいころから、成績という評価軸で他人と比べられる競争社会です。例えば95点をとっても、親からはほめてもらえずに、「なんでこの5点ができないんだ!」と叱られていたなんてお話をうかがったことがあります。その親にとっては「95点を取ったがんばった」子ではなく、「あと5点を取れなかった残念な」子になってしまい、本人もご自分をそう思うようになってしまったのだそうです。

家庭や学校では「良い子」や「普通の子」であることを求められ、ちょっと外れてしまうと「ダメな奴」「変な子」というレッテルを貼られてしまう。大人になっても同様で、いつまでも他者からの評価を気にする社会に生きなければなりません。疲れてしまうのも自然なことです。

浄土宗が拠り所とする経典『阿弥陀経』に、「青色青光(しょうしきしょうこう) 黄色黄光(おうしきおうこう) 赤色赤光(しゃくしきしゃっこう) 白色白光(びゃくしきびゃっこう)」という一節があります。これは極楽浄土では青い花は青い光を、黄色い花は黄色い光を放つという描写で、それぞれの花がそれぞれの光で輝く、その良さを示したものです。

阿弥陀さまの世界は、評価されることも比べられることもなく、みんながそのままでいて良い世界。現代社会はなかなかそうはいきませんが、阿弥陀さまはいつも、「あなたはあなたのままでいいんだよ」と語りかけてくれています。
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いつも、信友では、あまり仏教的なことを書いていないので、お坊さんらしさを感じていただけたでしょうか?(笑)

街はアジサイが咲きだしてきました。青や紫、赤、いろいろな色で咲き誇り、うっとうしい梅雨時期の一服の清涼剤ですね。どんな色もきれいだなと阿弥陀さまの心で楽しみましょう。

浄土宗自死者追悼法要「倶会一処~ともに生き、ともに祈る~」

毎年6月10日に増上寺で開催しています、自死者追悼法要「倶会一処~ともに生き、ともに祈る~」の受付が始まったようです。
(住職もお手伝いにうかがう予定です)

以下のサイトからお申し込みください。

追悼法要「ともに祈る」のお知らせ (hatenablog.com)

★2024年度ともに祈る_ちらし

春の彼岸法要ご報告

温暖化のせいか、すっかり3月中に桜が満開になることに慣れてしまいましたが、今年は入学式に満開の桜を見られそうですね。

さて、3月23日に春の彼岸法要をおつとめいたしました。天候が定まらない時期でしたが、なんとか雨に降られずにホッと一安心。34名のお参りをいただきました。

今回は、健康講話と題して、ゲスト講師に東京都健康長寿医療センターの研究員であり、歯科医でもある枝広あや子先生をお迎えいたしました。ユーモアを交えながら、さらには仏教的要素も取り入れていただき、分かりやすく口腔機能についてお話いただきました。「講談師や落語家のようですね」という感想を複数の方からうかがいましたが、本当に流れるような名調子。今後も機会があれば、ご講義をお願いしたいと思います。

また、これまでは軽食としてカツサンドをお持ち帰りいただいていましたが、多磨駅の近くに開店した「ゴハンとオカズ。ときどき」というお店の店長さんとご縁ができたので、そちらにオニギリをお願いしてみました。8種類のオニギリをご用意し、お参りのみなさまには、2個ずつ選んでいただくという趣向。羽釜で炊いたご飯は美味でした。施餓鬼法要でもご用意する予定ですので、お楽しみに。

なお、施餓鬼法要は7月7日(日)を予定しています。講話ではなく、ちょっと素敵なミニコンサートを企画中。あらためてご案内いたします。

これから春本番となりますが、まだ昼夜の寒暖差がございます。くれぐれもご自愛ください。

春彼岸法要

恒例の春彼岸の法要は3月23日におつとめいたします。

13時から健康講話、14時から法要となります。

今回、講話をしてくださる先生は、枝広あや子さん。
東京都健康長寿医療センター研究所の歯科医師研究員、老年歯科認定医。浄土宗総合研究所や大正大学と共同で「読経で健康プロジェクト」を推進中。私はその過程で仲良くさせていただいております。

講話のテーマは「健やかなお口で幸せな食生活を!~いつまでも美味しく楽しく~」です。

お念仏が健康に良いというお話も聞けそうです。是非お楽しみに。