今年の施餓鬼法要は7月5日(土)におつとめします。
13時から住職の法話、14時から法要の予定です。
月別アーカイブ: 2025年6月
ほとけさまの手のひらで
寺報『信友』238号の巻頭「ほとけさまの手のひらで」を転載いたします。
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今号で同封しましたものは、共同通信社から依頼され、一年間連載したエッセイになります。目立つことが嫌な私ですが、日頃お世話になっている記者から読売新聞や朝日新聞といった全国紙や地元の東京新聞には掲載されないと聞いて、お引き受けいたしました。
掲載紙として送られてくるのは、福井新聞、伊勢新聞、中部経済新聞、奈良新聞、長崎新聞など蓮宝寺と縁もゆかりもない地域の新聞ばかり。おかげさまで、この一年、「読みましたよ」と言われたことは一切無く、何の問い合わせもございませんでした。喜んで良いのか、誰の心にも響かなかったのだから落ち込むべきなのか分かりませんが……。
ちなみに、同封した記事は栃木県の下野新聞のもの。他の新聞は毎月の宗教とこころの特集ページの片隅に載っていたのですが、下野新聞だけは「おくやみ」欄。栃木県内各地の訃報で埋め尽くされた一面に、私のエッセイがひっそりと配置されているのです。地方新聞の訃報欄は閲覧率が高い人気ページですから、それはそれで良い場所だったのでしょう。
こころに少しでも絡めば内容は何でも良いという依頼で、タイトルも私に任されました。いろいろ考えて決まったタイトルが「ほとけさまの手のひらで」。
振り返ってみると、自分の確固たる意思で僧侶になり、今に至ったわけではなく、流されるがままというのが実感です。悩んだり、もがいたりしているのも、すべてほとけさまの手の上で右往左往しているに過ぎないのではないか、そんなイメージです。
なんとか12回絞り出したエッセイですので、普段あまりお見せしていない真面目な一面も出ているかもしれません。「住職はこんなことしているんだ」、「変なこと考えてるものだ」など、お暇な時にでも、御笑読くだされば幸いです。