葬祭のマナー?

冠婚葬祭のマナーに関する本はたくさんありますが、遺族にかける言葉に触れている本はどれくらいあるのでしょう。
先日、自死遺族の方とお寺でお茶をしていて、葬儀の際に「あなたがお母さんを支えてあげてね」という言葉がどれほど無神経な言葉に思えたかという話になりました。
「だったら、あなたが支えてください」、「私はつらくないと思っているのですか?」という気持ちになり、受け入れられなかったそうです。
こうした話は、他のご遺族からも聞くことがあります。
たとえば、小さいお子さんを亡くした方で、他にきょうだいがいる場合などに、「まだ○○ちゃんがいてくれて良かったね」と言われても、死別後まもない葬儀のタイミングで、わが子を亡くした悲しみが薄まるはずはないですよね。
おそらく、なんと言葉をかけて良いか分からず、何かプラス材料を探し出して言葉掛けすることが遺族にとって良いのだと思ってのことなのでしょうが、一方で、それは、遺族の悲しみを受け止める覚悟がない、直視したくないという気持ちのあらわれとも言えます。
善意のつもりでも、遺族の気持ちを逆撫でするようでは善意とは言えません。
そのご遺族は「余計なことはいわなくていいから、ただ「大変でしたね」でいいんですよ」とおっしゃっていました。
(私ももしかしたら葬儀の席で、無神経な言葉をかけているのではないかと不安になりましたが)
マナーとは相手への配慮といってもよいでしょう。、
服装や香典の包み方などの形だけでなく、どんな言葉をかけたらよいのか、相手の心情への配慮というマナーのもっとも重要な部分を、多くの人が自然におこなえる世の中になりますよう、私も微力ながら精進したいと思います。